由なし事

ある日ある刻ある空港で

人影のない空港。機能むき出しで現実感の希薄な風景。非日常が否応なく日常化する時世。
乗降客数は目算でも見当がつく程度だ。それでも、機体は滑走路へ飛び来り、飛び去る。
"空"の港というよりも"空っぽ"の港、"空気"を運ぶ港・・皮肉な形容ばかり思い付く。

出発ロビーのカウンター。自動チェックイン機には1台分だけ感染予防のパーティションが。
時おり乗客が来て、パネルを操作する。マスク姿でスマートフォンの画面を覗き込みながら。
神戸空港
空港に接続するモノレールの改札口。やはり人影は疎ら・・
航空会社のカウンターと同様、物象を包み込む空間のほうに観察者の意識が向かう。
こうなると、却って事物がクリアな存在感を放って見えるから不思議。

「おかしな世の中になったわねぇ」と誰かが機内で話していた。
いつかコロナ禍が去れば、何もかも奇妙な懐かしさを伴いつつ思い返すことになるのでは?ポートライナー神戸空港駅
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